ChatGPTで顧客提案や人事相談の下書きを作るとき、同じ端末を使う人や画面共有の相手に会話タイトルを見られたくない場面があります。そこで使えるのが、会話を通常の履歴や検索から分け、PINや対応する端末認証で開くチャットロックです。
ただし、ロックは会話の削除や保持期間の短縮ではありません。企業の保持ポリシーやコンプライアンス記録を上書きせず、管理者がPINをリセットできないなど、導入前に知るべき境界があります。
この記事では、チャットロックで守れること、守れないこと、一時チャット・アーカイブ・削除との違い、入力禁止情報、社内での小規模試験を整理します。
株式会社ラクボは、デジタルマーケティング・DX支援の広告代理店として、生成AIの権限、社内ルール、監査、業務自動化を支援してきました。10年以上のデジマ経験を基に、便利な機能を誤解せず業務へ組み込む方法をお届けします。
チャットロックは端末上の閲覧を追加で守る

チャットロックを使うと、対象の会話を通常のチャット履歴、固定表示、検索から分け、開くときにアカウントPINまたは対応する端末認証を求められます。画面共有中にタイトルが見える、共用端末で会話を開かれるといった偶発的な閲覧を減らす用途です。
OpenAIのチャットロックの公式説明では、EnterpriseとEduのロック済みチャットも組織のポリシーに従い、Compliance Platformの会話記録に含まれるとされています。ワークスペース管理者は会話をロック解除できず、利用者のPINもリセットできません。
つまり、ロックは端末上の追加保護であり、組織から会話を隠す機能でも、保持を止める機能でもありません。入力してよい情報かは、ロックの有無ではなく、契約、社内規程、接続アプリ、業務上の必要性で判断します。
ロック・一時・アーカイブ・削除を使い分ける

ロックは会話を保存したまま閲覧を守る用途です。一時チャットは通常の履歴へ残さず、保存しない限り別の保持ルールに従います。アーカイブは一覧を整理するだけで保持期間を変えません。削除は画面から消し、原則として一定期間内の削除処理へ進めます。
チャットとファイルの保持に関する公式説明では、通常とアーカイブ済みのチャットは削除またはワークスペース保持ポリシーによる期限まで保存され、保存済みチャットを削除すると画面から直ちに消え、例外を除き30日以内の完全削除が予定されます。
どれを選ぶかは目的で決めます。後で参照する必要があり画面上の露出だけ減らすならロック、履歴へ残さない相談なら一時チャット、一覧整理ならアーカイブ、業務上の保存義務がなく不要になったなら削除です。ロック済みチャットではスケジュール済みタスクを作成・更新できないなど、機能上の制約も確認します。
会話の種類ごとに入力と保存のルールを決める

会話を三つに分けます。第一は、公開情報や一般的な文章作成など通常のチャットで扱えるものです。第二は、端末上での露出を避けたいが組織規程上は保存できる下書きで、必要ならロックします。第三は、顧客の秘密、未公表の人事、認証情報、法的に入力できない情報で、ロックの有無にかかわらず入力しません。
企業向けサービスでは、既存の権限やワークスペース設定も確認します。OpenAIのエンタープライズプライバシーの説明では、BusinessやEnterpriseのビジネスデータは既定でモデル学習へ使われず、管理者は保持期間やワークスペースを管理します。それでも、社内の入力許可とは別に決める必要があります。
接続アプリや共有リンクを使う会話は、情報がどこへ渡るかまで確認します。外部接続の棚卸しはChatGPTの外部アクセスを分ける方法、未承認利用の発見はシャドーAIの棚卸し手順も参考にできます。
7日間の試験で復旧と監査まで確認する

1日目は、実データを使わず、通常、ロック、一時、削除の各操作を担当者二人で確認します。2〜3日目は、ロック対象の会話名を抽象化し、PINを忘れた場合、端末認証が使えない場合、別端末から開く場合の復旧手順を試します。
4〜5日目は、ロック済み会話が通常の履歴や検索に出ないこと、保持ポリシーと監査記録が変わらないこと、対象外の会話へ機密情報を入れていないことを確認します。共有リンク、予定タスク、会議録画などロックできない会話種別は、代替手順を決めます。
6〜7日目に、対象部署だけで小さく運用し、誤入力、解除失敗、問い合わせ数、管理者対応、削除依頼を記録します。必要な権限を定期確認する方法はAIエージェントのアクセス権棚卸しも参考になります。社内の生成AIルールを実務へ落としたい方はラクボのAI顧問・業務自動化支援をご覧ください。対象情報の分け方は生成AIガバナンスの相談窓口でご相談いただけます。
