AI導入・ガバナンス

AIリスク管理表の作り方|小さな会社で評価・対策・見直しを回す

AIリスク管理表を小さな会社で作り、利用場面ごとの影響、対策、所有者、停止条件、見直し日を一つの台帳で運用する方法を解説します。

AI利用場面ごとのリスク・対策・担当を一つの台帳で管理するチーム

社内で生成AIやAIエージェントが増え、どの業務で何が起きると困るのかを説明できずにお困りではないでしょうか。禁止事項だけを並べても、現場は使ってよい範囲や確認方法を判断できません。

原因は、AIリスクを製品名や一般的な脅威の一覧で管理し、実際の利用者、入力データ、出力の使い道、失敗時の影響へ結び付けていないことです。同じAIでも、社内メモの要約と顧客への自動返信では重要度が違います。

この記事では、AIの利用場面を一行ずつ台帳化し、発生可能性と影響で優先順位を決め、対策、所有者、停止条件、見直し日まで運用する方法を解説します。

株式会社ラクボは、AI導入をルール作りだけで終わらせず、権限、承認、ログ、例外対応を実際の業務へ組み込みます。少人数でも更新できる最小のリスク管理表を作る考え方をお届けします。

AIリスクはツール名ではなく利用場面で洗い出す

AIツールではなく営業・経理・顧客対応の利用場面で整理する棚卸し

最初の一行は『AIチャット』ではなく、『営業担当が商談メモを要約しCRMへ保存する』のように、利用者、目的、入力、出力先まで書きます。正式導入したツールだけでなく、SaaSに組み込まれたAI機能や試用中の自動化も対象にします。

英国の科学・イノベーション・技術省は2026年9月、AIの設計、調達、提供、運用に関わる組織向けのリスク管理ツールキットを公開し、リスクと対処方針を理解して説明できることを重視しました。大企業向けの複雑な制度をそのまま持ち込むのではなく、自社で使う場面へ置き換えることが重要です。

洗い出す時は、誤回答、情報漏えい、不公平な判断、権限超過、停止、費用超過、権利侵害を確認します。AIエージェントのアクセス権棚卸しと同じIDを使うと、台帳と実設定のずれを追いやすくなります。

発生可能性と影響で優先順位をそろえる

AIリスクを発生可能性と事業影響の二軸で優先順位付けする会議

各リスクは、起きやすさと事業への影響を低・中・高の三段階で評価します。数字を細かく付けるより、判定理由を一文で残します。たとえば顧客への誤返信は頻度が低くても、契約や信用へ影響するなら高く扱います。

影響は、顧客、従業員、売上、法令、業務継続、評判に分けて考えます。最悪の想像ではなく、現在の利用範囲で現実的に起こり得る結果を置きます。判断に迷う場合は高い側へ寄せ、限定テストで根拠を集めてから見直します。

優先順位は『高だから禁止』ではありません。入力を匿名化する、人が承認する、送信先を限定する、権限を読むだけにするなど、対策後に残るリスクを再評価します。対策しても影響を受け入れられない業務だけ、利用範囲を縮小または停止します。

対策・所有者・停止条件を一行で結ぶ

一つのAIリスクに対策・責任者・停止スイッチを結び付ける場面

管理表には、利用場面、具体的な失敗、発生可能性、影響、対策、所有者、停止条件、次回確認日を置きます。所有者はツール管理者ではなく、その業務結果を判断できる人にします。担当者が退職や異動をした時に、誰が引き継ぐかも決めます。

停止条件は『問題があれば止める』ではなく、顧客情報の誤送信、承認なしの外部送信、同じ失敗が二回続くなど観測できる形にします。止めた後の連絡先、手動処理、再開承認も同じ行からたどれるようにします。AI自動化の障害対応手順と接続すると復旧時の迷いを減らせます。

対策の証拠も残します。設定画面、承認記録、テスト結果、教育履歴をリスクIDへ結び、実施日を記録します。ルールを書いただけの状態と、実際に制御できている状態を分けて管理します。

変更と事故を台帳へ戻して定期更新する

AIの変更と小さな事故をリスク台帳へ戻して見直す定例会

AIのモデル、接続先、料金、利用者、データ範囲が変わった時は、その行を見直します。事故がなくても、四半期など決めた間隔で所有者と対策が有効か確認します。使われなくなった仕組みは、権限と連携を外して台帳を終了状態へします。

小さく試す場合は、低リスクの一業務を選び、十件程度のテストで誤り、修正時間、停止条件の発生、承認漏れを記録します。結果が良ければ対象件数を増やし、失敗が出たら入力、モデル、ルール、人の確認のどこを直すか決めます。

AIの利用台帳、リスク評価、承認、障害対応を自社業務へ組み込みたい方は、ラクボのAI顧問・業務自動化支援をご覧ください。現在のAI利用を一緒に整理したい場合は、AIリスク管理の相談窓口をご利用ください。